お茶大から東工大に3年間レンタル移籍します

エープリルフールネタではないので,少しフライングで公開します.

3月31日で丸5年間お世話になったお茶の水女子大学を退職し,4月1日より東京工業大学 大学院情報理工学研究科 計算工学専攻の准教授として赴任する事になりました.ただし,通常の異動ではなく,お茶の水女子大学東京工業大学との間で結ばれた教員の人材交流協定に則っての「転籍出向*1」となります.期間は3年間.2011年4月から2014年3月までです.新しい環境で,気持ちも新たに研究及び教育をしていきたいと思いますので,今まで同様,そして,今まで以上にお付き合いくださいますようよろしくお願い致します.

  • 修士,博士の学生の受け入れ(東工大の学生として)も行いますので,瀬々研で研究したい学生さんはコンタクトをください.場所は大岡山キャンパスです.
  • 各所先生方には,住所や電話番号など決まってから連絡しようと思っておりますので,先にブログ上での公開をお許しください.

さて,今回の異動は大学同士の人材交流協定に則ったものとはいえ,様々な人のご好意があって初めて実現したものでした.

まず,研究室の学生.本件を告げたときに多くの学生は狐につままれた様な顔をしていました.教員及び研究者は異動が多いとは言え,そのような事実に対して学生に免疫があるとは思われず,自分の研究室が突然無くなるという事態を把握するのに時間がかかった事と思います.また,本件を告げる事ができたのが卒論,修論の追い込みの時期,就活スタートの時期でもあり,精神的にも大変辛い決断を強いてしまいました.私の異動により,学生に精神的な負荷がかかることは十分予想してましたが,それでも異動を決断できたのは,研究室の学生が他の研究室でも十分に研究していけるほどシッカリとしたメンバーだと確信できていたからです.研究室のメンバーに恵まれていたことのには感謝してもしきれません.卒業して社会に飛び立つメンバーを除き,大学院に在籍するメンバーは,ある者は私について東工大で研究をし,ある者は他の研究室へと移って行きます.一人ひとりが最高の大学院生活を送れることを願っていますし,今まで以上に出来ることはサポートを続けたいと思います.

次に,お茶大の同僚の皆様*2.学科運営,副専攻運営等,本当にぎりぎりの人数で(あるいは,現時点でも人数が足りない状況で)運営している状況で,私ひとりが抜けることで,私の担当していた仕事を他の先生に任せる形となり,様々な先生方にご迷惑がかかる事になりました.どの先生も快く仕事を引き受けた上で「頑張ってきてください」という言葉をかけてくださいました.その言語を受けるたびにうれしさと共に非常に申し訳ない気持ちが溢れました.同僚の先生方は本当に皆様良い人ばかりで,本当に本当に良い人ばかりで,積極的に持分以上の仕事をしてくれます.これ以上同僚に恵まれる環境は無いのだろうな,と思います.今の教員メンバーなら,お茶大(特にお茶大情報)は,今後も学生が甘えながらも伸び伸びと勉強や研究できる環境が引き継がれていくと確信しています.

三番目に,東工大の先生方,事務の方.お茶大でPIをする事も,私の能力を遥かに超えたものだと今でも思っていますが,それ以上に東工大でのPIも能力を超えたもので,登用してもらって有り難い気持ちだけでなく,怖さもあります.そのような私が,更に出向という,ある種の外様の者に対して通常の教員と同様に扱えるよう手続きを行っていただいています.おかげで本業である研究教育以外の細々した不安少なくスタートが切れそうです.受け入れ態勢に関わってくださった,全ての先生方,事務の方には赴任前から大変感謝しております.

最後に,お茶大の3年生.私の研究室を志望してくれていた学生が何名かいた事も聞いていましたが,突然異動に伴い研究室が志望できなくなる事態になっても,それほどパニックを起こさず,研究室の配属を決めてくれました*3.研究室を選ぶ事は人によっては「人生をかけた」重要な事項と考えるかもしれませんが,お茶大情報の先生方は誰をとっても面倒見よく,学生を大切にしてくれますので,多少希望と異なる研究室へ行っても良い研究ができると思います.各自,目の前の研究に邁進してくれることを期待しています.研究会や国際会議で会いましょう.

以上の様々な問題が起きることを覚悟した上で,やはり異動をしようと思ったのは,環境を変えることでもう一段"上"の研究を目指そうとおもったからです.お茶大にいて「変わらない」なら今まで通りの研究成果を残していけるとおもいます.5年間で今までの学生が積みあげてくれた知識や設備の蓄積もあります.これらを壊すことになるのは怖いですが,変わらないで後悔するより,変わって後悔したいので,新しい環境で,新しい仲間と研究し,今までより質高く,今までより幅広い研究にチャレンジしてみようと思いました.

非常に運のよいことに,Human Frontier Science ProgramのYoung Investigator Grantも採択されました.こちらの研究期間も3年間と東工大に在籍する予定期間と同じです.幸先よい出だしとなりました.東工大の在籍中は,こちらのグラントの採択内容をはじめとして,今まで通り次世代シークエンサやマイクロアレイを用いた遺伝子発現の解析,ネットワーク解析,生命情報に関するデータマイニング手法の開発などを行っていきます.今までの共同研究も引き続き行っていきますので,よろしくおねがいいたします.

おまけ:

  • 実は場所の関係で,物理的な引越しは3月末ではなく4月に入って暫くしてからになりそうです.というわけで,しばらくはお茶大と東工大の両方に出入りしています.
  • 企業の方々との共同研究も今まで通りwelcomeです.寄付金もお待ちしております:)

*1:お茶大は復職条件付きでの退職

*2:大学の教員はあまり上下関係は無く(特にお茶大の情報は上下関係がほぼ無く),私のような若造から定年退官される直前の先生までフラットに扱われますので,失礼を承知で同僚という言葉を使わせていただいております

*3:お茶大情報では,研究室配属は学生達が話しあって決めます.教官は受け入れ人数の上限を指定するだけです